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目の病気Q&A/加齢黄斑変性症の原因・症状・検査・治療【眼科専門医が解説】

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加齢黄斑変性症の原因・症状・検査・治療【眼科専門医が解説】

加齢黄斑変性症とは、網膜の黄斑部というところに老廃物が蓄積した結果、視野の中心部が暗くなったり(中心暗転)視界が歪んで見えたり(変視症)する病気です。

加齢黄斑変性症は60歳以上の高齢者に好発する、失明に至る病気です。健診やセルフチェックで早期発見し、進行を遅らせることが重要です。ただし、病状が急速に進むタイプの加齢黄斑変性症もあります。

また、遺伝が関与するとも言われていますが、禁煙や抗酸化物質を積極的にとることが加齢黄斑変性症の予防に有効であることが分かっています。そこからも加齢黄斑変性は、目の生活習慣病とも言える病気です。

加齢黄斑変性の原因と分類(滲出型と萎縮型)

 

<加齢黄斑変性の原因>

滲出型加齢黄斑変性は黄斑部の加齢変化に伴って脈絡膜血管新生が発生し、色素上皮上にあるいは色素上皮下に伸びて出血・滲出を生じることで症状が生じます。
脈絡膜血管新生が発生する基準はまだ解明されていません。遺伝要因や加齢に伴う色素上皮やブルッフ膜の脆弱化などに酸化ストレスが関与していると考えられています。
同時に、血管内皮増殖因子(VEGF)の発現が新生血管の発生に関与していることがわかっており、治療にも活用されています。

 

<加齢黄斑変性の種類>

加齢黄斑変性症には、大きく分けて二つの種類があります。(1)進行が遅い萎縮型(2)進行が早い滲出型です。

萎縮型

萎縮型は、光を感じる役割を果たしている細胞が加齢とともに萎縮する病気です。進行は基本的に緩やかですが、原因はまだ分かっていません。視力に関係する中心窩に萎縮が及ばなければ、視力障害にはいたりません。しかしながら、滲出型に突然移行することもあるので、定期的に検査を受けましょう。

 

滲出型

進行が早い滲出型について、正常な眼の構造をふまえて説明します。

眼球は角膜と強膜という膜に包まれた球体と考えることができます。角膜はコンタクトレンズを着けるところ、強膜は白目です。

そして球体の中には水晶体という薄いレンズがはまっていて、水晶体(レンズ)より前には眼房水という透明な液体が溜まっています。一方で、水晶体(レンズ)より後ろには硝子体という透明なゼリー状の物質が満ちていて、強膜の内側には網膜が広がっています。

強膜を裏打ちしているイメージです。ご存知の通り、網膜は眼に入った光を感じるためにあるところです。もっと正確には、強膜と網膜の間には脈絡膜という層もあります。脈絡膜には血管が走っていて、網膜に栄養を送る役割を果たしています。

加齢黄斑変性症は、網膜に根本的な原因があります。特に、網膜の黄斑部に原因があります。

黄斑部とは、言わば網膜のど真ん中です。視野の中心の情報を受け取っているのが網膜黄斑部です。

ところで、網膜の細胞は日々、新陳代謝をしています。生じた老廃物を処理して恒常性を維持しているということです。
しかし、加齢とともに新陳代謝の能力は落ちていき、老廃物が蓄積するようになります。そして、蓄積した老廃物は本来存在しないはずのものなので、体から異物と認識されます。さらに、異物を除去する反応の結果として新しい血管が出来ます。新生血管は脈絡膜で出来るのですが、病状が進行すると脈絡膜を破って網膜にまで伸びてきます。また、新生血管は正常の血管に比べて脆いので、簡単に破れて出血します。
網膜に新生血管や出血があることで見え方に影響が出ているのです。具体的には、変視症(ものが歪んで見える)、中心が歪んで見える、視力低下(新生血管が中心窩に影響することから)が起きてきます。症状については、<加齢黄斑変性の症状>で詳しく説明します。

まとめ

加齢黄斑変性の原因は加齢、異物に反応した新生血管

変視症

  • ものが歪んで見える症状です。

視力低下

  • 網膜出血などにより視力低下を引き起こします。

中心暗点

  • 末期になると視野の真ん中が欠けて見えます。

加齢黄斑変性の検査

加齢黄斑変性症の検査は、大きく分けて(1)眼底検査(2)蛍光眼底造影(3)光干渉断層計の三つに分けられます。いずれも網膜や脈絡膜を観察するのが目的です。フルオレセイン蛍光眼底造影またはインドシアニングリーン蛍光眼底造影によって脈絡膜新生血管(choroidal neovascularization:CNV)の位置を判定し,CNVが中心窩を含むかどうかによって推奨される治療を分かれるためです。

それぞれについて、もう少し詳しく説明します。

(1)眼底検査

細隙灯顕微鏡という機械を用いて、網膜の様子を直接観察するものです。瞳孔を開いて(散瞳)行う必要があるため、眩しいです。

(2)蛍光眼底造影

造影剤という薬を腕から注射しながらレントゲンを撮る検査です。造影剤は眼の細い血管、あるいは出血を浮かび上がらせるために用います。加齢黄斑変性の原因である新生血管がどこまで進展(及んでいるか)の判定のための検査です。

(3)光干渉断層計

OCTとも呼びます。眼のCT検査です。網膜や脈絡膜、あるいはそこに出来ている新生血管の写真を、蛍光眼底造影検査とはまた違った角度で短時間に撮影できます。患者さんの負担が少ないです。

加齢黄斑変性の治療方法

脈絡膜血管新生が中心窩から離れている場合は新生血管全体にレーザー光凝固を行い新生血管を破壊します。中心家に近い場合は光線力学的療法や抗VEGF薬の硝子体注射が第一選択になっています。

治療法1

加齢黄斑変性の薬物療法

新生血管が中心窩に達している場合は、レーザー光で凝固すると視力が低下してしまうので、行うことができません。そのような場合は、抗VEGF抗体(ルセンティスまたはアイリーア)などが第一選択になります。
VEGFというのは、血管が新しくできるために必要な成分です。それを作用しにくくするのが抗VEGF抗体です。

抗VEGF薬による加齢黄斑変性治療法

点眼麻酔をした後抗VEGF薬を眼球内に注射します。眼球に注射というと怖いイメージがあるかもしれませんが、点眼麻酔で痛みはありません。入院の必要はなく、注射の効果は数週間持続します。

抗VEGF抗体の適応

中心窩に及ぶ新生血管がある患者さんが対象になります。

抗VEGF抗体の手順

抗血管新生薬療法は、抗VEGF抗体を眼球の中の硝子体(しょうしたい)に注射します。細菌が眼の中に入らないようにするため、注射する3日前より抗菌薬の点眼を使用し、注射前には眼球とその周囲の皮膚を消毒してから、抗VEGF抗体を注射します。また、注射後にも抗菌薬の点眼を使用していただきます。

注射の頻度・回数は、病気の状態によりさまざまです。治療導入時は多くの場合約1ヶ月ごとに3ヶ月間注射を行なう必要がありますが、病状が安定してから(維持期)は、検査は必要に応じて月1回、注射は必要に応じて2か月や3か月ごとに治療を行う方法や病状が再発したら治療を行う方法などがあります。また、抗血管新生薬療法だけでなく、PDTを併用していく方法も行われています。

抗VEGF抗体の効果

 個人差はありますが、新生血管の発育が止まり、視機能が維持されるだけでなく、出血や滲出物の吸収とともに視機能が回復することもあります。
 血管新生を抑える働きはラニビズマブやアフリベルセプトのほうが強く、副作用はペガプタニブのほうが少ないと考えられています。治療の初期にはラニビズマブやアフリベルセプトを使い、病状が安定したらペガプタニブに変更する場合があります。

抗VEGF抗体の副作用

注射後眼圧が一時的に高くなることがあります。(緑内障の方には慎重に用います)また、眼に細菌が入って炎症を起こさないように抗菌薬を使用しますが、まれに眼内炎を起こす方がいます。治療後に、充血、眼の痛み、飛蚊症やかすみ目を感じたら、すぐに受診するようにしてください。

参考文献

加齢黄斑変性の治療方針
7.加齢黄斑変性

治療法2

レーザー治療

これは、言わば対症療法です。適応になるのは加齢黄斑変性症だけではありません。網膜上で出血しているポイントにレーザーを当てます。破れている血管を焼いて固めてしまい、これ以上出血が拡がらないようにしています。しかし、レーザーを当てると網膜の細胞も焼けてしまうので、黄斑部にはこの治療は行えません。原因の章でも述べましたが、黄斑部は網膜のど真ん中で、もしも焼いてしまった場合に見え方への悪影響がとても大きいためです。
ただし、以上は全て滲出型に対する治療です。萎縮型に対しては現在確立された治療はありません。

Q&A

Q 加齢黄斑変性の治療の歴史って?

カレー黄斑編成は視力よこすような疾患でありわが国でも急増中で眼科の最重要疾患の1つです。近年この疾患に対する治療法が著しく進歩しました。光線力学的療法と抗VEGF療法がその代表です。光線力学的療法(PDT)は、脈絡膜血管新生に光感受性物質ベルテポルフィンが集積することを利用しています。この物質を静脈注射した後病変部に弱いレーザーを照射することにより光化学反応が起き血管の閉塞をきたします。感覚網膜に障害を起こすことなく中心窩の新生血管のみの治療が可能です。
日本では2004年より認可され臨床でも用いられております日本人に対する治療成績は欧米人よりも良好であることが明らかになっています。また基礎研究で脈絡膜血管新生の発生進展に血管内皮増殖因子が重要な役割を果たしていることが明らかになったため抗VEGF療法(硝子体内注射によりの作用を抑制し血管新生を抑えようとする治療)が臨床応用されました。日本では2008年にペガプタニブ2009年にラニビズマブ、2012年にベルセプトが認可され幅広く使われております。

Q 加齢黄斑変性症のセルフチェックについて

原因の章でも述べましたが、加齢黄斑変性症は黄斑部に病変ができやすいので症状を自覚しやすいです。
格子状の模様を見つめたときに、視野の真ん中が歪んでいないか、あるいは視野の真ん中が視野の周辺よりも暗くなっていないか注意しましょう。このとき、両眼同時にではなく片眼ずつ行う方が、より変化に気づきやすいです。

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